テキサスはジーンズ、シカゴはチノパン、東京のクールビズは?
2012年8月21日 00:13

旧暦のお盆を過ぎたというのに、毎日30℃以上の真夏日が続く。所によっては35℃以上の猛暑日に見舞われる都市もある。電力不足が予想されながらも停電という事態は免れている。シンガポールやクアラルンプールのような赤道直下の熱帯地方と比べても東京の方が暑いような気がする。湿気が多いからだろう。

 

最近はクールビズが当たり前になっているため、ネクタイを締めなくても許される時代になったことはたいへんありがたい。ネクタイを締めるだけで体感温度は2~3℃高まる。クールビズファッションは洋装業界から始まり、一般のビジネスマンにまで広がっている。

 

ただし働く環境で涼しければどのような格好でも良いという訳ではない。最低限のマナーともいうべきルールはあろう。その基準は相手に不快な思いをさせないことだろう。男ならきたない毛脛を出してオフィスで仕事することはご法度だろうし、女性ならへそ出しルックはご法度だろう。

 

カジュアルな服装にもルールはあり、このルールは国や地方によって変わる。以前勤めていた外資系出版社の1拠点であるシカゴでは、社内ではノーネクタイでもかまわなかった。普段はノーネクタイの営業担当者でもクライアントのオフィスを訪問する時は背広にネクタイで行く。女性の営業担当者は口紅程度の化粧をしジャケットを羽織って行く。男性のあるパブリッシャーに聞くと、基本的なルールは襟のあるシャツ以上で、ズボンは、ジーンズはダメだがチノパン以上ならOKだと決めている。

 

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85~10日滞在したテキサス州では、カーボーイハットにジーンズでもよいという。この地方ではジーンズは正装の一部だからだそうだ。ただし、よれよれのジーンズはダメで、ヒザの出ていない新しいジーンズに限るという。

 

日本の記者会見で驚くことは、丸首のTシャツによれよれのジーパンで来ている記者がいることだ。しかも一流ホテルを使った会見でさえも、このような不快な服装で来る。電力事情が切迫している昨今に、背広にネクタイとは言わないが(自分も講演の講師の時以外はネクタイしない)、せめて他人に不快な思いをさせないという気づかいは必要なのではないだろうか。むしろ、女性記者の方がまともな服装で出席している。記者の基本は情報を得ることだ。相手に不快な思いをさせて情報を十分引き出せるだろうか。

 

昨年この世を去ったスティーブ・ジョブズ氏は丸首にジーンズ姿でプレゼンを行っていた。しかし、彼を見ても不快に思わない。なぜか。ジーンズはきちんとした新しいモノを穿いているからではないだろうか。

 

米国の記者会見にも何度か出席したが、よれよれのジーパンにTシャツといった格好の記者はいない。多くの記者がノーネクタイでもウールのズボンにYシャツあるいはジャケット、といったそれなりの格好で来る。むしろ、米国の記者の方が時と場所、シーンを使い分けた服装をしている。

 

私は決しておしゃれを楽しむ人間ではない。妻から「あなたのようなおしゃれをしない人間は見たことがない」とよく言われる。自分は最低限、相手に不快な思いをさせないような服装をすることだけは心得ている。着る服がわからない場合は、Yシャツにウールのズボンにジャケットを着るか、涼しい季節なら背広にネクタイで済ましてしまう。これなら少なくとも相手は不快な思いをしなくて済むだろうから。

2012/08/21