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NEWS&CHIPS|国際技術ジャーナリスト、技術アナリスト、メディアコンサルタント津田建二の事業内容~技術・科学分野の取材・執筆(国際技術ジャーナリスト)
   

B2Bメディアの興亡:紙からインターネット媒体へのシフトに見えるもの

(2012年8月 1日 18:32)

B2Bのエレクトロニクス、半導体をカバーしている雑誌が今や少なくなった。日本では、日経マイクロデバイスの休刊、Semiconductor International日本版の休刊、電子材料を発行していた工業調査会、セミコンダクタワールドを発行していたプレスジャーナルの倒産、といった出来事がこの1~2年でめまぐるしく起きた。この結果、エレクトロニクス関係の雑誌や新聞は、日経エレクトロニクス、電子ジャーナル、半導体産業新聞の三つしかなくなった。まるで半導体業界の再編を見ているかのような紙媒体の衰退が起きた。

代わって生き残りを図っているのが、インターネット媒体である。日経BP社はTech-On!にエレクトロニクスと半導体を含めており、日経マイクロデバイスという紙媒体からインターネット媒体へ移したようなコンテンツを構成している。EDN JapanEE Times Japanは紙媒体を止め、インターネット媒体へシフトした。マイナビニュースやセミコンポータル、WirelessWire Newは最初からインターネット媒体として生きている。

こういった動きは実は日本だけではない。米国のエレクトロニクス・半導体メディアも紙からインターネットへシフトしている。EDN JapanEE Times Japanの姉妹誌であるEDNEE Timesはインターネットが主体で、EE Timesの紙媒体は極めて薄くなっている。もう一つの競合誌であるElectronic Designも同様だ。

これに代わって、さまざまなインターネットサイトが登場している。紙媒体も持つChipdesign Magazineは雑誌とウェブサイトに加えて、エレクトロニクスをさらに細分化してまるで分科会のようなウェブサイトを三つ持つ。一つは「Low-Power Engineering」、もう一つは「Semiconductor Manufacturing & Design」、そして「System-Level Design」である。いずれも半導体の設計とシステム設計、半導体製造をカバーしている。

B2Bのウェブサイトのビジネスモデルもユニークになってきた。EE Times Japanを設立したのは、チップワンストップという電子部品のネット商社である。これまでメディアは業界から独立した出版社が発行してきた。編集の独立性を維持するためだ。チップワンストップがEETJを設立した時も編集の独立性は担保されたという。同様に、WirelessWire Newsはノキア・シーメンスが唯一のスポンサであるが、編集の独立性は担保されているという。ただ、EETJはこの後、インプレス、IT Mediaへと売られるという数奇な運命をたどる。

インターネットのメディアは興亡を繰り返し、まだビジネス的にしっかりと確立されたものではない。しかし、新しいビジネスモデル次第では、利益の出るネットビジネスが可能だと信じている。

   

8月6日からのNI Week

(2012年8月 1日 17:23)

今年は、テキサス州オースチンで開かれるNI Weekに参加することになった。NINational Instruments社の略である。オースチンは、米国の半導体コンソシアムであるSEMATECHがあった街であるし、かつてモトローラやモステック、SRCなど半導体関係の企業やコンソシアムが集まっていた。今でもサムスン電子、SiliconLabsなどの拠点もある。

NIは、もともとソフトウエアを利用したフレキシブルな測定器としてこの業界に参入した。その発想は極めて革新的だ。ソフトウエアと、ハードウエアボードがあれば、パソコンがオシロスコープにもスペクトルアナライザにもなる。NIは当初、Virtual Instrument(仮想測定器)と呼んだ。

ただし、この呼び名は誤解を受けやすい。例えばオシロスコープなら時間軸に対する電圧や電流の波形を表示するが、まるでシミュレーションだけで本当は測定していないようにもとれる。このため、同社はこの呼び名をやめた。その後、データ測定だけではなく、設計、シミュレーション、テストが可能なさらにフレキシブルなLabVIEWと呼ぶ、開発環境をリリース、これが現在同社の大きな原動力になっている。

LabVIEWは、グラフィカルユーザーインターフェースを使って、回路やシステムを組み、組んだ回路を測定・テストする総合的な開発環境である。LabVIEWの開発環境に、グラフィカルプログラミング言語(G言語)とコンパイラやデバッガ、リンカなども統合されているため、グラフィカルなユーザインターフェースを利用してプログラミングしてすぐに結果を知ることが可能だ。例えば、回路図をライブラリからコピペしてプログラミング言語も加えて回路の機能をテストすることができる。

このLabVIEWと、ちょっとしたカスタム設計のハードウエアボードを使えば、ソフトウエアを書き直し、ハードウエア部分もFPGA等のソフトウエアベースの半導体チップで回路構成をし直すだけで、ほとんどすべての機能をフレキシブルに実現できる。例えば、まだ規格が決まらない先端技術の開発などにはピッタリだ。規格がたくさんあってとてもASICのようなハードワイヤードでカスタム半導体回路を起こしきれない、といった開発案件にも対応できる。特に携帯通信規格のLTELTE-Advanced(4G)など、各国で規格や周波数が違う技術にはピッタリだ。

今回、久しぶりに企業の招待での海外出張となる。NIの創業者の一人でありCEOでもある、James Truchard氏は米国のハイテク経営者の中でも尊敬されている経営者の一人だ。話を聞くのがとても楽しみである。