10月13日から1週間、米国行き
2012年9月23日 20:41

次の海外出張では、1015~19日、GlobalPress Connection主催EuroAsia Pressセミナーに出席する。このセミナーは、さまざまな企業の講演やデモがあり、日本にいては聞けないような話が山のようにある。中には、企業を訪問し、半日の説明やデモなどを見せていただくこともある。魅力的なことは、日本に現地法人のない、ちっぽけなベンチャーの話がきけることだ。また、日本に現地法人があっても本社のCEOCTOから直接、話を聞けることもメリットだ。11のインタビューも可である。

 

米国のベンチャー企業は、すごい技術を持っている所が多い。というのは、1歩先んじた技術を持っていなければベンチャーキャピタル(VC)は出資してくれないからだ。最初の出資である程度、成功の道筋が描かれるかどうかを確認、調査し、うまくいきそうになると、最初のVC(エンジェルともいう)はさらに追加投資を行うと同時に、別のVCや業界企業を紹介し、彼らからも出資してもらう。だから、2回目、3回目の資金調達となるといよいよ製品の試作が始まると同時に、潜在顧客にもアプローチし始める。複数のVCから資金を調達できれば、そのベンチャー企業の成功確率は高まる。われわれジャーナリストにとっては、日本でまだ誰も報じていない企業のすごい技術の話はまさにテクノロジーの特ダネとなる。

 

また、日本の現地法人があっても、CEOの生の声を聞けることは別の情報を仕入れることに等しい。例えば、2年前のGlobalpressのコンファレンスにおいて、元ザイリンクスのシニアVP(バイスプレジデント)からMIPS TechnologyCEOになった、Sandeep Vij氏のスピーチは、極めて印象的だった。スタンフォード大学の現在学長であるヘネシー教授のもとでRISCコンピュータの開発をやってきた彼は、MIPSで再びRISCに係わりを持つようになったと喜びのメッセージを発した。こういった生の声を聞けるのである。

 

シリコンバレーのミルピータスにあるリニア・テクノロジー本社を訪問して、たくさんの新製品のプレゼンを聞くこともあった。リニアは高性能ながら汎用の製品を設計製造することが上手な企業で、製品の価格は少々高いが、性能を得るためあるいはシステムコストを下げるためには購入せざるを得ないものが多い。夜になると、リニアの招待で街の中華レストランへ行き、シニアエンジニアの方たちと日本、欧州、米国、アジアなどさまざまな顧客との付き合いやビジネス情報を議論し合うこともある。日本にいてはとてもできないような取材である。

 

さらにシリコンバレーはいまだに新しい情報の宝庫だ。かつてのシリコンバレーはもう半導体はダメだ、これからはナノテクだ、バイオだと言われた時期があった。しかし2000年代に入ってからは転入人口の方が転出人口よりも多くなり、住宅を求める声は再び強くなっている。現実に、電気自動車はデトロイトではなくシリコンバレーから始まり、ソーラー技術もシリコンバレーから起きている。Facebook創業者のザッカーバーグ氏は東海岸ボストンにあるハーバード大学を出てシリコンバレーに本社を構えた。半導体では仮想3FPGA の Tabula 社、MOSトランジスタの電流バラつきを減らせることで低消費電力を実現する Suvolta社など、新発想の半導体技術ベンチャーが現れてきている。

 

ちなみに日本語のベンチャー企業は、英語ではスタートアップ(startup)あるいはStartup companyと言う。ベンチャーと言うと、「あなたの言っていることはベンチャーキャピタルのことか?」と聞き返されることが多いので注意が必要だ。

 

一つの気がかりは、社長のIrmgardからくるTwitterによると、チームのメンバーの一人であるPatriciaが病気になったことだ。E-チケットは頂いたが、サンフランシスコ空港からのロジスティクスに関する情報が全くこなくなった。ブラジル出身のPatriciaは、非常に賢い(smart)働き者の女性であり、Irmgardの良いサポータだ。一刻も早い回復を祈る。

(2012/09/23)