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NEWS&CHIPS|国際技術ジャーナリスト、技術アナリスト、メディアコンサルタント津田建二の事業内容~技術・科学分野の取材・執筆(国際技術ジャーナリスト)
水族館にゴードン・ムーアさんはじめハイテク関係者が寄付
2012年8月 1日 21:54

海外取材で企業や大学を訪問したり、公共施設を訪れたりして気が付くことだが、米国の産業人はずいぶん寄付をしている。米国に西海岸カリフォルニア州シリコンバレーにある名門スタンフォード大学に行くと、ビル・ゲーツ研究所がある。英国のケンブリッジ大学を訪れた時もビル・ゲーツ研究所を見かけた。

シリコンバレーから50kmほど南へ行ったところにモントレーという街があり、今春、モントレーにある水族館を訪れた。水族館の入口には高額の寄付をされた方々の名前があった。その中に、ビル・ゲーツ夫妻はもちろん、ムーアの法則(半導体の集積度は年率2倍で増加すると1965年に発表した経験則)で有名なゴードン・ムーア夫妻、ヒューレット・パッカード社を創設した、ウィリアム・ヒューレット夫妻、デビッド・パッカード夫妻の名を見つけた。


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スタンフォード大学構内にあるビル・ゲーツコンピュータ科学研究所


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モントレーの街並み 左側の建物のさらに左側には海が面している。


モントレーはジョン・スタインベックの小説「キャナリー・ロウ(缶詰横丁)」の舞台となった街で、自身もここで暮したことがある。ここはイワシの缶詰(いわゆるオイルサーディン)工場があった場所で、海側に水族館がある。今春、GlobalPress Connections社主催のe-Summit 2012の中日にエクスカーション(遠足)を計画してくれ、モントレーを訪れることになった。

水族館の入口に高額の寄付をした人たちの名前が記されていた。私の知っているハイテク関係者で10万ドル以上高額の寄付をした人たちは、水族館とは無縁の仕事をしてきた人たちだ。半導体の集積度は毎年2倍のペースで高まっていくことを1965年に発表したゴードン・ムーア氏は現在もインテル社の名誉会長である。ヒューレット・パッカード社の二人の創始者はスタンフォード大学にも、名前を刻んだ建物がある。

米国では個人の寄付がこのように至るところに見られるが、日本とは大きく違う。もちろん、億単位の給料をもらう経営者が少ないこともあるが、それだけではない。かつて日本には、「自分が死んだら自分が持っているゴッホの絵も一緒に燃やしてくれ」と言っていた大企業の社長がいた。ゴッホの絵は人類の財産だ。個人の好き勝手にできるものではないはず。なぜ美術館に寄付しようという気持ちが働かなかったのか。

米国では寄付をするとその分、税金を控除されるという仕組みがある。個人が団体に寄付した分を控除することは国家にとって収入が減ることに他ならないから財務省は嫌がる。しかし国民感情としては、自分のお金が社会に有意義に使われることは透明性が高い。税金は役人の給料にもなっており、そのほか何に使われるか不透明だ。水族館や美術館、図書館、学校など公共施設に寄付するのならその分税金を減らせるわけだから、公共施設は財務省の管理内であるし、控除の対象にしてもよいだろうと思うが。

要は、働く人間がモチベーション高く、社会のために働いてくれれば国としても良い訳だろうから、国は寄付による税控除をもっと真剣に考えるべきではないだろうか。米国のように、高額所得者にかける税金が高い国において、寄付控除によって公共施設を教育目的で充実させることは、寄付する人間にとっても満足がいくのではないだろうか。